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婚姻継続の意思がなく夫婦関係の修復が困難であるとき
夫婦が離婚することに合意すれば、協議離婚することができます。
一方が離婚したくとも他方が離婚することに同意しなければ、家庭裁判所の離婚調停を経て、さらに裁判で離婚を求める方法があります。
裁判では離婚原因などによって『婚姻が破たんしているか』が判断のポイントになり、双方が婚姻を継続する意思を失くしており、別居も長期となって客観的に婚姻が破たんしていると認定されると、離婚が認められます。
夫婦の婚姻が破たんすると、形式上の婚姻を続ける意義がなくなり、いずれ離婚することになります。
夫婦が離婚するときは、双方が離婚することに合意している、言い換えると、婚姻生活を続けていく意思を双方とも失くしている状態になっています。
このような状態に夫婦があるときは、婚姻が破たんしていると言えます。
夫婦自身が婚姻が破たんしていることを認めることで、市区町村役場へ離婚の届出をすることにより、協議離婚の方法で速やかに離婚することができます。
この場合、離婚に関する条件を離婚の届出までに決めておくことが望ましいと言えます。
ただし、夫婦間の未成年の子どもの親権者を指定する以外の財産分与、養育費、慰謝料などの離婚条件は離婚の成立後に定めることもできます。
しかし、夫婦の一方が離婚することに同意しなかったり、子どもの親権者指定など離婚に関する条件が夫婦で折り合わないと、協議離婚することはできません。
このときは、離婚したい側が、家庭裁判所での調停、裁判での離婚手続きを進めていきます。
家庭裁判所の離婚調停では、夫婦の間における合意成立を目指して、調停委員が夫婦間を調整します。これにより、夫婦双方が納得できる条件が調うと、調停離婚が成立します。
ただし、調停をしても夫婦の間に離婚合意が成立しないことも多くあり、どうしても離婚を進めたいときは、裁判で離婚請求することになります。
裁判所では、離婚請求する配偶者の相手側に離婚原因があるときは、その離婚原因を踏まえて夫婦関係の修復可能性を判断することになります。
すでに夫婦関係を修復していくことが難しい状況になっており婚姻の破たんが認められると、裁判所の判決によって離婚が成立することになります。
夫婦のどちらか一方側に裁判上の離婚原因がないときにも、夫婦の婚姻が破たんしている状態であることが認められると、裁判所の判決が確定することで離婚が成立します。
このとき、夫婦の別居期間の長さは、婚姻の破たんを判断するうえで、大事なポイントになります。
夫婦は共同生活をする義務があり、同居は夫婦に求めらる基本条件の一つであると言えます。
したがって、夫婦が特別な理由もなく長く別居を続けていることは、夫婦の実体があると言えませんので、婚姻の破たんを認める大きな要素となります。
夫婦は同居して共同生活をする義務があることから、別居を続けることは婚姻の目的に反する状態になります。
離婚協議に向けた期間として、夫婦双方の同意のもとに別居することもありますが、夫婦間の些細なトラブルが原因となって別居が開始することもあります。
離婚になることを双方とも想定していれば、別居しても構わないと考えますが、二人が原因を理解しないまま別居を続けていくことには注意が必要です。
いずれ元の状態に戻るであろうという軽い気持ちで別居を容認してしまうと、別居が長期化してしまい、その後に夫婦関係を修復することが難しくなることもあります。
別居は、基本的に双方で住居費が必要になるため、経済面で厳しい状況になります。
ただし、一方が実家に戻って生活する場合などには、新たな住居費の負担が生じませんので、あまり経済的な負担増を感じないこともあります。
妻が子どもを出産するために実家に里帰りし、そのままの状態が続いて、夫婦で生活していた家に戻ってこないという話は多く聞きます。
里帰りして出産すること自体は問題ありませんが、夫婦関係が良くないときは、妻側が里帰りすることを契機として、そのまま別居状態になってしまうことがあります。
また、本来は夫婦で離婚問題を考えることになるのですが、実家に戻ることで、その両親の意向が離婚問題に強く反映されることも起きてきます。
そのことによって婚姻継続への対応が複雑になるという事情も見られることがあります。
婚姻関係が破たんしますと、夫婦で共同生活を維持していくことが難しくなり、離婚の届出をする前に別居生活を先行させる夫婦も多く見られます。
夫婦の信頼関係が崩れてしまうと、一緒に暮らすことも苦痛に感じてしまうことになります。
そうしたときは、別居を始めることで、離婚に向けた話し合い、新生活を考えた就職などの準備をすすめることがあります。
このときに別居が長期化して夫婦の共同生活の実体が失われて婚姻の破たんが認められると、配偶者以外の異性と性的関係をもつことも不貞行為に当たらないとされます。
一方、離婚の届出が市区町村役所に受理されるまでは法律上で婚姻していることに変わりありませんので、双方が生活を維持していくための婚姻費用は、双方で分担する義務が継続することになります。
別居してからの婚姻費用の分担額を、夫婦で決めておくことも大切なことです。
離婚の時には、夫婦の関係を経済面においても清算することになります。一般には財産分与において、夫婦の共有財産を分けることになります。
このとき、別居中の婚姻費用についても合わせて財産分与のなかで清算することができます。
もし、婚姻費用の分担額が決まっていないときは、円滑に清算できないことも起きます。
また、別居期間が長期化するときは、婚姻費用の分担額が決まっていないと、生活が不安定になったり、経済面で困窮する事態になることも考えられます。
別居するときにも経済的な生活基盤をきちんと確保しておくことは大事なことになります。
結婚した当初には良好であった夫婦の関係は、いつから崩れていくものなのでしょうか?
結婚してから婚姻が破たんするまでの期間は、わずか数か月の夫婦もあれば、30年間以上を経ている夫婦もあって様々であると言えます。
結婚したときは、お互いに相手の個性を認め、結婚生活に大きな夢と希望を抱いています。
しかし、そうした当初の夢も、日々の現実の積み重ねによって徐々に色褪せてきます。
当然のことですが、誰でもが自分の夢と希望を容易に実現できるわけではなく、必ず何らかの障害に直面し、それを乗り越えなければ先へすすむことができません。
このとき、夫婦で共に耐えていくことも、方向の修正を図っていくこともできます。
夫婦を続けていくためには、相手を許したり、鈍感になることも必要になりますが、あまり無理な姿勢を続けていると、いつか限界を感じるときがあるのだと思います。
そして、離婚を選択する夫婦も、婚姻を継続していくことを選択する夫婦も、直面した障害に上手く対応できるか否かの違いであり、本質的に大きな違いはないかもしれません。
離婚は人生における一つの選択であり、それを選択する理由は個人の価値観にありますので、すべての人に共通する対応はないと考えます。
「ご夫婦ごとに、離婚を選択する理由は、本当にさまざまです。」
→ご挨拶・略歴
離婚することを決断するまでは、双方が悩むことになります。
夫婦に幼い子どもがあれば、夫婦の関係があまり良好と言えない状況にあっても、子どもが成長するまでの期間は離婚しないで共同生活を続けようと考えられる方も多くいらっしゃいます。
例えば、子どもが中学校を卒業する3月までとか、短い期間であると新学年又は新学期になるまでという期限を、離婚時期に設定することもあります。
あるいは、子どもが成人するまでは何とか形だけでも夫婦関係を続けていこうと努力されている方もあります。
しかし、こうした我慢の生活にも限界が訪れることがあります。
そのようなとき、特に妻側には、無理に夫婦関係を継続させていこうとは考えない傾向があるように感じます。
離婚することを決めるまでは深く悩んでも、いったん離婚することを決断した後には引き返さないというのが女性の特性であると思います。
一方の夫側は、離婚してからも妻との接触を維持していきたいと考えることも少なからず見受けられます。
この辺にある考え方の違いは、男女の特性に基づくものであるのかもしれません。
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