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婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻を継続し難い重大な事由

夫婦の一方に、暴力、無断で多額の借金を繰り返すなど、夫婦で婚姻生活を継続していくことが困難となる原因があるときは、他方は離婚を求めることができます。

まずは二人で話し合いますが、原因を持つ側が離婚することに応じなければ、家庭裁判所で調停を経たうえで、裁判で離婚請求することができます。

そして、裁判所で婚姻の破たんを認める判決が確定すれば、離婚が成立します。

裁判による離婚請求

婚姻を継続しがたい

離婚したいけれども配偶者が離婚することに同意しない場合には、家庭裁判所における調停を経たうえで、最終的に裁判により離婚請求する方法があります。

夫婦の話し合いで離婚することに合意ができれば、協議離婚の手続きによって容易に離婚ができます。

しかし、夫婦の一方が離婚することに反対している、離婚に際して親権者の指定が決まらないようなときには、協議離婚をすることができません。

このようなとき、法律制度上では家庭裁判所で離婚の手続きをすすめることになります。

はじめに離婚調停を行い、家庭裁判所が関与して夫婦の調整を試みることになります。

この調停でも離婚の問題が夫婦で解決できないときは、調停は不成立となります。

それでも、離婚に向けて手続きをすすめたければ、裁判で離婚請求を行うことになります。

夫婦の一方が離婚を希望していないときに裁判所の判断で強制的に離婚を成立させるためには、法律に定める要件が必要になります。

その要件とは、法律で定める離婚事由がある、又は、婚姻が破たんしていることが認められ、その夫婦が婚姻を継続していくことができない状態であることです。

したがって、夫婦の一方が婚姻を継続することが無理であると考えていても、その理由や夫婦の状況によっては裁判で離婚請求をしても離婚が認められないこともあります。

法律で定める「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、どのようなことを指すのでしょうか?

配偶者や子どもに対する暴力や虐待がある、仕事をしないで婚姻生活を維持していく意欲がない、酒やギャンブルなどに家庭のお金を使いこんでしまっている、多額の借金をしてしまって返済できない状態になっている、夫婦の間で性交渉がない、などが挙げられます。

夫婦における暴力行為については、協議離婚においても離婚の理由になっています。

直接に身体上の危害を加える暴力行為だけではなく、家庭内で周囲に物を投げつけたりする乱暴な行為も、暴力行為とみなされます。

夫婦での共同生活を送るために経済収入を得ることも、夫婦間の義務になります。

やむを得ない理由もなく仕事に就かない、ギャンブルに入れ込んでお金を費消している、浪費癖により多額の借金を重ねていることも、夫婦生活では重大な問題となります。

夫婦に性交渉がないことも問題になることがあり、理由もなく性交渉を長期にわたり拒絶することは、離婚原因に該当すると考えられます。

上記のほかにも、夫婦間の生活を破壊する行為は離婚原因に該当することがあります。

このような原因が夫婦の一方にあり、婚姻を継続することが困難であることを裁判所に認められると、離婚が成立することになります。

また、明白な離婚原因と言えるものが無くても、長期の別居によって婚姻破たんが認められ、婚姻の回復をすることが期待できない状態になっているときにも離婚が認められます。

婚姻を継続し難い重大な事由

夫婦の婚姻が破たんし、共同生活を継続していくことを回復できる見込みがない状態であることが対象になると考えられています。

夫婦ごとに、婚姻期間の態度、子どもの有無、両者の婚姻を継続することの意思など、婚姻における事情を考慮して裁判所で判断されます。

具体的には、次のような事例が、婚姻を継続し難い事由として認められています。

  • 暴力または虐待
  • 重大な侮辱を受けること
  • 失業、浪費癖、多額の借金などの経済的理由
  • 犯罪行為のあったこと
  • 限度を超える宗教活動
  • 病気
  • 性格の不一致、など

【民法第770条(裁判上の離婚)】

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

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借金や暴力による離婚

一般に多く行なわれている協議離婚においても、夫婦一方の借金や暴力が理由になっていることが少なくありません。

国内で消費者金融を利用している人口は1000万人を超えているとされます。いかに借金が身近な問題であるかが窺われます。

このほかに、クレジットカードを利用した買い物なども普及が進んでいて日常的に多くの方が利用しています。

今では、夕食の買い物をする際にもクレジットカード一枚だけで済んでしまう時代です。

そして、クレジットカードにはキャッシング機能が付いており、現金の引き出しが容易にできます。

また、銀行も、無担保カードローンの利用促進をしています。

現代の社会は、ある程度の収入さえあれば、誰でも容易に借金ができる環境にあると言えます。

最初は生活費の補充や遊興費の不足分として借りたお金でも、それが徐々に繰り返されて残額が増えていくと、いずれは返済することに行き詰まります。

一方、配偶者に対する暴力行為も珍しいことではありません。

直接に身体的な暴力を加えなくとも、近くにあるものを壊したり、投げつけるという行為も暴力にあたります。

これらの行為が原因となって離婚することになると、理論上では離婚原因のある側は相手に慰謝料を支払う義務があります。

でも、借金によって経済的に破たんした状態での離婚であると、当然のことながら慰謝料を支払う資力もありません。

配偶者への暴力行為による離婚でも、当事者間で話し合うことが容易でなく、慰謝料を受け取ることが難しいこともあります。

借金や暴力を原因とした離婚では、離婚条件としての金銭給付を定めるに際して難しい面があります。

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