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公正証書の代理人指定

原則は契約者本人が公証役場に出向きます

離婚公正証書の代理人指定

離婚契約の公正証書を作成するときは、原則として夫婦とも本人が公証役場へ出向きます。

ただし、やむを得ない事情があれば、公証人から事前に承諾を得たうえで、契約者となる本人が代理人を指定し、その代理人が公正証書の契約をすることもあります。

代理人が公正証書の契約手続きをする場合は、契約への理解不足が原因で公正証書の完成後にトラブルが起きないよう本人は事前に契約の条件を十分に確認しておかなければなりません。

公証役場には本人が出向くことが原則です

協議離婚において作成する公正証書は、一般に離婚給付契約公正証書と言われます。

夫婦の離婚に向けた協議では、財産分与離婚慰謝料養育費などの条件が定められますが、これらの離婚に伴って金銭が支払われることを離婚給付といいます。

離婚給付は離婚の成立によって生じますので、離婚届の前に離婚給付について定める契約は、離婚給付の前提となる協議離婚の合意も兼ねることが普通です

契約で離婚することを同時に合意するのですから、お金の支払い契約について連帯保証人が入らない限り、夫婦二人で結ぶ契約となります。

通常の手続きでは、契約の当事者となる夫婦本人が公証役場に出向いて、そこで離婚の契約を結ぶことになり、その契約内容を公証人が公正証書に作成するかたちとなります。

この手続きにおいて、夫婦に代わり代理人が公証役場に出向いて契約することがあります。

金銭の貸し借りをするときの公正証書契約では代理人による作成も少なくありませんが、公正証書による離婚契約をするときは、代理人での作成を認めない公証役場も多くあります。

身分の契約を伴う離婚契約を代理人で行なうことは、感覚的に違和感があると思います。

ただし、夫婦間に紛争があって弁護士が関与しているケースなど、やむを得ない事情があると認められるケースでは、代理人による離婚の公正証書契約も行なわれています。

離婚する夫婦が別居していて二人の住所地が遠距離になっているとき、離婚後の契約のために公証役場まで夫婦の一方側が出向くことが負担となるときなどにも認められます。

代理人による離婚公正証書の作成を認めるか否かは、最終的に公証人の判断になります。

もし、代理人での作成を考えるときは、公証役場に事前確認しておくことが必要になります。

当事務所でも、ご依頼者の方に止むを得ない事情のある場合は、公証人と相談したうえで代理人による離婚公正証書の作成を行うことがあります。

委任状による代理人の指定

公正証書で契約をするときには、その契約者となる本人の確認が重要になります。

公文書となる公正証書を作成するとき、他人による本人成りすましが行なわれると、虚偽による公正証書が作成され、そのことで社会システムに重大な影響が及ぶ可能性もあります。

金銭消費貸借契約では強制執行の対象となる契約書として公正証書は作成され、離婚契約では夫婦が離婚する身分に関する重要な契約書になります。

そのようなことから、公証役場では、本人からの印鑑証明書、運転免許証、個人番号カードなどの公的な身分証明資料の提示(提出)によって本人であることを確認しています。

代理人により離婚公正証書を作成するときは、代理人を指定する本人は印鑑証明書を添付した委任状を代理人に預け、本人又は代理人はその委任状を公証役場へ提出します。

そして、代理人自身も上記の本人確認の手続きを公証役場で行なうことになります。

このように、代理人による公正証書の作成では、公証役場に委任状の提出が必要になるため、夫婦本人が公証役場に出向くときよりも委任状を取得するための期間が余計にかかります。

公正証書の作成を急ぐ際には、委任状の取得期間もあらかじめ見ておくことが必要です。

代理人指定は慎重に

代理人による公正証書契約

離婚のような身分に関わる契約は、夫婦が公証役場に出向いて公正証書を作成することが原則です。

代理人による公正証書作成のリスク

夫婦が公証役場へ出向いて公正証書を作成するときには、当日に公証人が夫婦本人に会って、公正証書契約とする離婚給付の条件、契約の意思について確認ができます。

ところが、代理人による公正証書作成の場合では、本人からの委任状の提出によって上記について確認しますので、間接的となる確認方法になってしまいます。

委任状の提出による確認方法で実際に問題が起きることは少ないと思われますが、なかには公正証書が完成した後にトラブルになることも起きています。

離婚 公正証書を作成した後に当事者の間でトラブルが起きたケースについてご相談を受けたことが当事務所でもあります。

一例ですが、代理人により公正証書を作成したケースにおいて、確かに本人自身が委任状に署名、押印しているのですが、公正証書に記載した文言の効果を理解していなかったことから、養育費の負担について数年後にトラブルとなっていました。

「約束したとおりの内容を記載した契約だから、委任状に実印を押して、それを送ってくれたら構わない」との簡単な説明だけを受け、委任状を提出している方もあるようです。

このような方法での契約手続はトラブルを生む余地がありますので、委任状の取得の際には、代理人などが責任をもって契約内容を説明して理解したことを確認しておくことが必要です。

公証人からも、代理人での作成ではトラブルが起きる心配のあることを聞いております。

離婚の契約は人生に何度も経験することではありませんし、初めて公正証書を作成する際に、強制執行の対象となる公正証書の効果を本当に理解することは容易でないこともあります。

公証役場での公正証書の作成に立ち会うことも多くありますが、そこで公証人は「ここに約束した通りに支払いが行なわれないと、あなたは強制執行を受けることになりますからね。」という説明を必ず行っています。

当事務所のご利用者の方でも、何回も繰り返し説明をさせていただいた過程で誤解が解けて、ようやく離婚契約の仕組みを理解していただくこともあります。

上記トラブルのケースでは、公正証書が完成した後、数年も経過してから契約の履行に関し問題が起きたときにはじめて公正証書の記載方法に問題があったことに気付いたのです。

離婚前に作成する公正証書契約には離婚することの合意も含まれていますので、公正証書の契約内容を夫婦双方ともに十分に理解しておくことが必要です。

重ねてになりますが、やむを得ない事情から代理人によって公正証書を作成するときは、代理人に印鑑証明書と委任状を渡すときに公正証書とする契約の内容について十分に確認しておかなければなりません。

理解できていないまま公正証書の契約手続をすすめてしまうと、後で困ることになります。

自分で公証役場に出向かなくても済んでしまうからという安易な気持ちだけで代理人を指定して公正証書を作成することは、見えないリスクを将来に残してしまうことに注意が必要です。

そのため、当事務所においてはできる限り夫婦本人による公正証書作成をお勧めしています。

本来の手続きを行なうことで得られる安全

離婚で公正証書を作成したいと考えるときは、どうしても、できるだけ早く簡単に手続きを済ませたいとの気持ちが生じるものです。

誰でもそのように考えるのかもしれません。

たとえば、離婚することになった相手とはできるだけ顔を合わせたくないでしょうし、一緒に行動することを極力避けたいとの気持ちになってしまう方もあると思います。

公正証書 離婚の意義は、将来のトラブルを予防して契約の安全を高めるものになります。

夫婦とも公証役場へ行かずに行政書士が夫婦の代理人となって公証役場における契約手続きを代行して離婚公正証書を作成するサービスもネット上で見られます。

一度も公証役場へ出向くことなく完成した公正証書を入手できることは、上記のような問題について何も知らない利用者にはたいへん魅力あるサービスに映ります。

しかし、あまりに簡便な手続きで公正証書の作成手続きをすすめてしまうと、契約することに対する当事者としての責任感や認識が弱くなってしまい、将来になって契約の不履行などで問題が生じるリスクのあることは上記に説明のとおりです。

大事な場面でどれだけ頑張れるかということで、その人の人生が方向づけられるものです。

多少の面倒なことがあっても、本来行なうべき正しい手続をしておくからこそ、その見返りとして安全な公正証書の契約書を手に入れることができることになります。

高い費用を支払って専門家を利用することの価値は、スムーズに手続きをすすめることにもありますが、最も本質的な部分は契約の安全性をできるだけ高めるところにあります。

ご事情を踏まえて慎重にお考えになったうえで、公正証書による契約の手続きをすすめられるようにしていただきたいと思います。

当日に契約変更があるときに困ります

夫婦の一方が代理人で公正証書契約を行うときになり、公証役場に出向いてきた本人から契約条件の一部を変更したいとの申し出が起こることもあります。

当日の条件変更は行わないことが基本ですが、離婚(条件)について揉めていた夫婦であるとそうした事態も起こる可能性が無いと言えません。

こうしたとき、本人が二人とも揃っていればその場で話し合って解決することもできますが、一方が代理人であると、本人の了解なく条件について交渉、決定することができず、対応できないこともあります。

その場で交渉することができなければ、条件の変更について改めて本人同士で話し合わなければならず、公正証書の作成、離婚の届出が遅れることになってしまいます。

このようなことからも、本人が公証役場へ出向くことが安全であると言えます。

公正証書作成時の送達

強制執行の対象となる公正証書を作成したときに、離婚条件になる養育費などの支払いを契約した本人が公証役場に出向くことで、公正証書の送達を済ませておくこともできます。

送達は、契約した支払いが遅れたときに行なうことで足りるのですが、この手続きを公正証書の作成時に済ませてしまう公証役場もあります。

この送達の手続きは、公正証書契約によって金銭支払いを受ける側にとって安全を得られる手続きとなります。

公正証書の作成時に送達の手続きをするためには、金銭を支払う契約をする本人が公証役場に出向くことが前提になります。

こうしたことから、支払い側を代理人に公正証書を作成すると、この交付送達の手続きを公正証書の作成時に行なうことはできません。

離婚専門の行政書士

『はじめに離婚の条件、公正証書の仕組みを説明させていただきます。』

公正証書の仕組みを知ることが大切

公正証書の代理人による作成における注意点については、上記のとおりです。「公正証書」という言葉だけは知られていても、その仕組みや意味についてはあまり知られていないのが実情です。

多くの方はインターネットを情報源としています。インターネット検索は簡便なツールですが、その情報には偏りもあります。

基本的には事業者が情報を提供していることが背景にあり、また閲覧対象者は初心者に設定されています。

これは、検索システムの利用者側には簡単に知りたいというニーズがあるため、提供されている情報は基本的なことだけになり、その情報を無償で提供しているのは事業者しかありませんから、やむを得ないことかもしれません。

そのため、離婚の公正証書についてインターネットで調べてみても、何となく分かった気がするという程度であると思います。

具体的な事例に応じた対応を調べるには、その分野の専門書を調べるか、詳しく知っている専門家に聞くことになります。

インターネットでサイトを開示している事業者は営業が目的であるため、どうしてもメリットを強調する傾向にあり、その裏側に潜むリスクについての説明が弱くなるものです。

そのためでしょうか、代理人での公正証書作成も含め、離婚するときには公正証書で契約書を作成しておけば、とにかく安全であると思い込んでいる方が実に多くいらっしゃいます。

当所へのお電話においても、公正証書に関する誤った認識に基づく質問などを受けることがあり、心配することもあります。

離婚での契約が大切であることは間違いなく、どのような条件として定めて契約するかによって契約の効果は異なります。

公正証書で不利となる契約を結ぶのであれば、むしろ公正証書で契約しないでいた方が良い場合もあります。

離婚給付契約や公正証書の仕組みを理解したうえで契約することで、はじめて効果があり、安心感が得られます。

これから公正証書を作成することをお考えでしたら、上記のことにも注意いただきたいと思います。

 

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なお、慰謝料請求可否・金額評価、法律手続の説明、アドバイスを求めるお電話は、サポート契約者様との連絡に支障となりますので、ご遠慮ねがいます。

 

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